読書すれば人生変わる

本を読むことによって人生変えてきました

書評 人生の短さについて セネカ著

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"人生の短さについて"を読みました。

 

セネカは約2000年前の人物で2000年前に書かれた本なのですが、現代に生きている私が読んでも、ハッとさせられることばかりでした。

 

巷に溢れている自己啓発本に書かれている元ネタのようなものがわんさかあり、「世の中は古典でできている」なんてことを聞いたことがありましたが、こういうことかと感じました。

 

自己啓発本なんて読まなくてもこれ1冊読んでおけばいいんじゃね?とさえも思ってしまいます。

 

自己啓発本が好きな人は一読の価値あり。

 

では例のごとく印象に残ったところを書いていてきたいと思います。

 

 

幸福な人生について

本書は、第一部が「人生の短さについて」、第二部が「心の平静について」、第三部が「幸福な人生について」となっています。

 

今回は第三部の「幸福な人生について」の部分の感想を書いていきます。

 

さっそく、第三部の初めの方に結論が書かれています。セネカの「幸福な人生」についての結論は以下です。

 

・幸福な人生は、人生自体の自然に適合した生活である。そして、それに到達するには次の仕方以外にはない。まず第一に、心が健全であり且つ健全さを絶えず持ち続けることである。第二に、心が強く逞しく、また見事なまでに忍耐強く、困った時の用意ができており、自分の体にも体に関することにも、注意は払うが、心配することはない。最後に、生活を構成するその他もろもろの事柄についても最新であるが、何事にも驚嘆することなく、運命の贈物は活用せんとするが、その奴隷になろうとしない。こう言った仕方である。

 

では、私なりの解釈を書いていきます。

 

第一の”心が健全であり且つ健全さを絶えず持ち続けることである”ということ。

 

これは読んだままの通り、精神の安定のことです。

 

悩み、不安、焦りといったものに苛まれながら日々を過ごしていても到底幸福にはなれません。安定した精神状態を持続させることが幸福な人生への第一歩だと言われています。

 

第二の

"心が強く逞しく、また見事なまでに忍耐強く、困った時の用意ができており、自分の体にも体に関することにも、注意は払うが、心配することはない"

 

という部分ですが、心が強く逞しく、忍耐強いということは、詳しくはどういうことかというと、第三部を読んでいくとわかりますが、快楽に溺れない心といったものです。

 

快楽のままに生きるのも楽しいですが、どこか焦燥感があるように感じます。

 

例えば、学校の宿題をやらないといけないのにもかかわず、ゲームをしている時など。

 

自分の本当にやらないといけないもの、やりたいものを疎かにして、目先に快楽選んでも、結局はもやもやとした物があり、真の幸福は得られません。

 

なので、自分がやらないといけないもの、やりたいものに対して、ブレず、忍耐強く成し遂げる心が必要だということです。

 

では後半の"自分の体にも体に関することにも、注意は払うが、心配することはない"

という部分について。

 

自分の身体にも気を遣い、健康に保つようにしましょう、その上で健康が害されても、受け入れて悲観したりしない、というような意味であると捉えています。

 

要するに、身体の健康を保つのは何よりですが、生きている以上、病に犯されたり、障害をもったりすることは当然あるので、「健康的にしてきたのになんでこんな目に」「病気になったからできない」「障害があるからできない」なんてことを思ったりすれば幸福な人生とは無縁になりますということです。

 

病気になっても幸福に生きている人はいるので、「なんでこんな目に・・・」といった感情がこそが何よりも自分を不幸にしているものなのです。

 

 

では最後の部分の

”最後に、生活を構成するその他もろもろの事柄についても最新であるが、何事にも驚嘆することなく、運命の贈物は活用せんとするが、その奴隷になろうとしない。こう言った仕方である”

について

 

何事にもいちいち一喜一憂せず、ただ受け入れる。ということです。

 

お金で例えますが、

貧乏になった、金持ちになった、といった時「貧乏になった終わりだー」とか「金持ちになったからハッピーだー」なんていっても無意味。

 

人生なんて、諸行無常で移り変わっていくものだから、その時々の状況に一喜一憂していたら疲れるだけでとても幸福にはなれない。

 

ただその状況を受け入れる、それが幸福な人生の送り方である。といった感じです。

 

なんとも説明しにくいのですが、金持ちだったら幸せ、貧乏だったら不幸といった「金」という概念に取り憑かれてしまうと、例え金持ちになったとしても、金を失った時精神的ダメージ計り知れず、金を失いたくないという恐怖にビクビクしながら生活するハメになります。

 

これは「金」だけではなく「学歴」とか「身分」とかにも当てはまると思います。

 

そういったものの”奴隷”になってしまうと不幸な人生になるとセネカはいっているわけです。

 

しかし、かといってじゃあ全部すっぽかして何もない状態がいいのかというと、そうではなく、なんか知らんけど巡ってきたもの(運命の贈物)は大いに活用してよしで、それが失われても大丈夫なくらいの心を持っておきましょう、というような感じです。

 

自己啓発本は古典の劣化コピー

長くなりましたが、私が印象に残った箇所の感想は以上です。

 

他にもいろいろありますが、私の言語能力ではとてもじゃないですがまとめきれません。

 

2000年も前からこういった本があったということに驚きでした。どこかで聞いたことあるような話ばかりで、自己啓発本のほとんどが本書の劣化コピー版のように感じられます。

 

自己啓発本が好きな人は合うと思いますので読んでみてください。