自衛隊での思い出〜前期教育編③〜地獄の生活が幕を開ける 初めての銃〜ゴールデンウィークまで
入隊式を終えた次の日は休みだったので、班長、班付を含む班員みんなで初の外出をしました。
都市部に行ってみんなで焼肉を食って帰ってきました。
焼肉を班みんなで食ってる時、自己紹介しました。
・警察に落ちたからきたK候補生(区隊1の問題児と言われていた)
・海上保安官に落ちたからきたY候補生(要領も覚えも早かったけど何かとやらかす)
・災害派遣に感化されてきたS候補生(優秀だったが、打たれ弱かった)
・自衛隊しか内定もらえなかったネガティブ思考のI候補生(常にテンパっていていじられキャラだった。何度も辞めると言って泣いていた)
・行くあてがなかったヘビースモーカーM候補生(ヤンキー気取っていたが兄弟思い)
・理学療法士を持っているから自衛隊病院勤務を希望していたT候補生(最年長で頼りがいのあるやつかと思えば、かなりのサボリ魔)
・運動部だったからとりあえずきたK候補生(班をよく引っ張ってくれた)
・大型免許が欲しいからきたO候補生(おしゃべり大好き)
・格闘したくてきた元ボクシング部のA候補生(言われたことを間違って覚える天然)
筋肉つけたくてきたH候補生(ツンデレ)
・爽やかイケメンヤリ◯ンの班長。
・バイク大好きパンスト大好きオラオラ系班付き
そして国を護りたいと思い、空挺団を目指していたわたし。
いろんな人がいた。わたしの班はみんな仲が良いい方だったと思う。
入隊して、同期と初めて出会って、自衛隊を志す18歳なんてさぞかししっかりしているのだろうと思っていました。
しかし、実際は国防の為なんていう人はいませんでした。
”こんな人たちで国守れるの?”というのが正直な感想でした。
そんなこんなでみんな自己紹介を終えると、
班長が「おい、誰か騎乗位のモノマネしろ」と言うのです。
(うわぁ出たよ体育会系のノリ…)
自衛隊はこういうノリがさも当たり前かのように行われます。
わたしもなんども被害に合い
アニメが好きだったので、アニメ好きというのがバレてから某アイドルアニメのダンスを散々踊らされました。(大ウケだったけど)
自衛隊に入ろうという方はこういった体育会系のノリは必ずあるので覚悟してください。
芸は身を助けると言いますが、何かウケるネタを持っていると好かれます。
自衛隊はバカになったもん勝ちです。
みんな「誰かやれよ」、みたいな目でキョロキョロしていると
班長が「よし、T候補生寝ろ。そしてI候補生乗れ。そしたら腰ふれ」
T、I共にマジでやんの?みたいな感じでしたが、
班長「はよやれやwww」班付「おい班長のいうことは絶対ぞww」
と言われ、TもIもやり始めました♂
班長の命令は絶対なのです。
Iなんて「いやぁああああああん」とか言い始める始末。
まぁこんな汚いこと日常茶飯事なので。これくらいにしておきます。
初めての銃!!もちろん本物
そして、次の日。地獄の2区隊生活が幕を開けました。
起床ラッパと共に、ベッドから飛び起き戦闘服に着替え、半長靴を履き、隊舎の5階から1階まで走り降り、隊舎の前で点呼を取ります。
この間5分。
「お前ら点呼に何分かかってんだぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お前らちゃんと並んでんのか!!列がバラバラなんだよ!!つま先まっすぐ合わせろ」
朝の点呼からこっ酷く怒られる。
区隊全員で腕立て伏せ。
朝の点呼は何度も何度も怒られました。
早く着いたとしても、横の列が揃ってないと怒られる。
報告をする取り締まり(区隊のリーダーみたいなもの)が報告のセリフを覚えていないから怒られる。
そして点呼が終わると急いで隊舎に戻り、布団を畳みます。
(この黄色い毛布の折り目がバームクーヘンに見えることから自衛隊ではバームクーヘンと呼ばれる)
綺麗にバームクーヘンが出来てないと班長に毛布をすっちゃかめっちゃかされてやり直しです。
そうこうしているうちに朝飯の時間。
飯を食ったら、課業の準備をして〜と瞬く間に1日が過ぎていきました。
そして銃が授与されました。
銃受け取るとき「銃!!」と叫びあげ、区隊長から受け取ります。(何故かは知りません)
89式小銃をついに手にした感想は、「案外軽い」
(銃を受け取った直後のわい)
「重いと思う人、軽いと思う人」皆それぞれですが、わたしは軽く感じました。
しかし3.5kgあるこの銃を持って走るとなるとそれなりにきついです。
この銃が前期教育期間中の相棒になります。
これから銃の分解結合や、銃を使った基本教練、そして戦闘訓練を覚えていきます。
入隊式が終わってからゴールデンウィークまでは、
座学、銃の分解結合、銃を使った動作などを中心に行いました。
4月〜GWまでは導入期と呼ばれ、広く浅く学んでいきます。
GW明けから練成期に入り、学んだことをものにしていくよう訓練の厳しさが増していきます。
地獄の生活
ベッドをぐっちゃぐちゃにされたり、点呼が遅いなどと言われ罰を受けていると時間を取られるんです。
時間を取られると次の集合場所に間に合わなくなって、また罰を受けます。
そして罰を受けているうちに時間がどんどん取られ、また間に合わない。また怒られる。
「お前らいつになったら集合時間に間に合うんだ!!!間にあわせる気あんのか!!腕立て伏せの姿勢をとれぇええええええ!!!!」←腕立てしている間時間どんどんおす
みたいに悪循環となっていくんです。
なので、迅速かつ丁寧にしなくてはなりません。
鈍臭いやつはマジで嫌われます。
わたしの所属する2区隊は、ベッドメイキングやら靴磨きやら列の揃い具合やら少しでも甘いとやり直しさせられていました。
そして集合時間に遅れようものなら、恐ろしいことに。
これが地獄の2区隊と呼ばれるゆえんです。
1区隊、3区隊と比べ厳しいし罰が多い!!
(間に合わせようにも、お前らがいちいち長々と説教したりするから間にあわねぇんだよ。鈍臭いやつはいるしマジでクソッタレが!!!)とイライラしてました。
あまりにも罰を受けるので時間が無さすぎる。
時間を作ろうと、飯の時間を3分だけにしたりしてました。
みんな風呂に入る暇なんてないなんていって3日、風呂に入ってないなんてことも笑
入るふりしてタオルで拭いたり。結局それがバレて「おいお前ら舐めたことしやがって!!!きたねぇんだよ!!!」激怒されまた罰を受けましたが。
一番ムカついたのが、集合時間に絶対遅れまいと5分前に全員集合していたら。
「お、5分もあるな。14時に集合のはずだよな?暇だからジャージに着替えてこい」
えええええええええええええ。
ドタドタバタバタ、2区隊集合終わり!
「よし、戦闘服に着替えてこい」
クソがああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
みんな「何で2区隊はこんなに厳しいんだ、1区隊とかまじ甘いじゃん」と不満タラタラ。
そういう不満が班長たちに知れ渡り
「お前ら1区隊に行きたいんか?あ?根性なしはさっさと辞めろ。自衛隊舐めんなよ!!」
といちいち呼び出されて激怒され罰を受ける笑
そんな怒られる日々を過ごしているとあっという間にGW。
みんな「やったこの生活から抜け出せる」と安心していました。
しかし、GW後はこれよりも厳しい錬成期に入るのです。ひえええ
続く。
教育方針の違い
前期教育といっても、指導する区隊長、班長によってマジで違います。
1区隊なんてこっちが3分で食ってるのに10分かけて食ってましたから。
実際、後期訓練で1区隊の人と一緒の班になったのですが、
「2区隊だけ軍隊だった」「俺ら1区隊は3ヶ月間お客様期間だった」と言われていました。
その人は靴磨きもアイロンも殆どしない人で、2区隊では考えられないような人でした。
前期教育が終わるころ、班長から聞いた話ですが、後期訓練で苦労させないために厳しくしておこうという考えだったのです。
わたしは空挺を目指していたため、厳しく教育されたことに感謝してましたし、
イライラはしていましたが軍隊だから厳しくて当たり前と思っていました。
それが、幸か不幸か。
後期訓練で配属された教育隊の規律の甘さに拍子抜けし、やる気がなくなってしまうのですが。