読書すれば人生変わる

本を読むことによって人生変えてきました

書評 ラッセル幸福論

休みで暇だったので、ラッセルの幸福論を読みました。

 

初めて読んだ時は、「すごい本だ!」と思ったのですが、読み返してみると「ダラダラと長いな!」という印象です。

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せっかく読んだので、備忘録として書いていきます。

 

本書は2部構成になっていて、1部が不幸の原因、2部が幸福をもたらすものとなっています。1部には不幸の原因である、競争、疲れ、嫉みなどが書かれており、2部は、幸福をもたらすもの、愛情、情熱、ほどほどの努力、ほどほどの諦めなどが書かれています。

 

個人的に一番心に残ったのが第1章の「何が人々を不幸にするのか」です。

 

不幸の原因となるものが書かれており、不幸の原因がわかれば、あとはそうならないようにするだけでいいからです。

 

では1章についてまとめていきます。

 

まず、本書にとってそもそも不幸とはなんぞや?という所ですが、「外的不幸のない人たちにのみ注意を向けたい、普通の日常的な不幸に対して、1つの治療薬を提案することにある」とあります。

 

これはどういうことかというと、子供が死んだ、莫大な資産を失ったとか外的な不幸ではなく、なんとなく生きづらさを感じている、焦燥感に苛まれるといった、漠然とした不安や焦りを感じている、つまり内的な不幸を感じる人へ書かれた本です。

 

では、その漠然とした内的不幸の原因となっているのものはなんなのか。それは3つの種類があると書かれています。

 

(1)罪びと

ここでいう罪びととは、罪の意識に取り憑かれた人のことです。

罪の意識に取り憑かれたとは犯罪を犯したとかではなく、「自分はこうあるべきという理想像を抱いていて、その理想像と自分を比べて苦しんでいる」人のことを指します。

 

どういうことかというと、フリーターしていた頃の私で例えると「俺は優秀だから正社員で雇ってもらうことなんて容易いはず。それなのに転職活動は全然うまくいかないし、フリーターなんてやっている。これはどういうことだ!」(他にわかりやすい例が思いつかなかった)

 

といった感じで、別にフリーターで幸せな人もいるのに、なんで不幸になるのかというと、「こうあるべきという理想像」がありそれと現実がかけ離れているからです。

 

フリーターをしていた時の私には「フリーターは負け組」「正社員で働かないとワープア不可避」という「こうあるべきという理想像」がありました。

 

なぜ、「こうあるべきという理想像」が出てくるのかというと、幼少期から刷り込まれてきた価値観や常識が根底にあるからです。

 

「行儀良くしなさい」「友達はいっぱいいたほうがいい」「勉強していい大学にいったほうがいい」「大企業に就職したほうがいい」「どこの業界がいい」「3年は転職はしないほうがいい」などなど

 

このような刷り込まれてきた価値観や常識、思い込みといったものが不幸を生み出す原因といっています。

 

私も大いにこの経験はあり、高学歴はすごいという思い込みがあり「大卒になりたいから有名大学の通信制に通おう」となったりしています。

 

(2)ナルシズム

本書によるとナルシズムとは、「自分自身を賛美し、人からも賛美されたいと願う習慣」とあります。

 

承認欲求みたいなものです。

 

ある程度のナルシズムはおkだけど度が過ぎると不幸の原因になります。

 

人から認められたいという欲求で動いても成功することは殆どないからです。

 

なぜかというと、情熱を持ってやっている人や楽しんでやっている人には叶わないから。

 

「大画家に払われている尊敬に感銘して、美術学生になるかもしれない。しかし、彼にとって絵は目的に対する手段に過ぎないので、テクニックなどはてんで面白くならないし、どんな主題でも自分と関係づけて見ずにはいられない。結果は失敗と失望であり、嘲笑を浴びせられることになる」と書かれており、

 

本来、自分がやりたいからやるものを他者から認められるための手段としてやってもそりゃうまくいかないよねという具合です。

 

このような虚栄心は、活動を純粋に楽しむ気持ちを殺してしまい、無気力と退屈を生み出します。それらが不幸の原因となります。

 

他者から認められたいからやるのではなく、自分が関心の持つものに情熱を注ぎ楽しむことが大切ということです。

 

(3)誇大妄想狂

「魅力的であることよりも権力を持つことを望み、愛されることよりも恐れられることを求める点で、ナルシストと異なる」(p21)とありますが、

 

そんな人いる?というのが正直な感想でした。誰だって怖がられるより愛されるほうがいいじゃないか!

 

私利私欲の限りを尽くす経営者とか、権力に溺れた政治家とか、出世欲にまみれなりふり構わずなんでもやるようなサラリーマンとかその辺のことでしょうか。

 

本書にはアレキサンドロス大王とかナポレオンとかが例に挙げられていますが、そこまでの人物なんてそうそういないでしょう。

 

権力に溺れて、権力を手にしても、更なる権力が欲しくなるだけで幸せにはなれないということです。

 

まとめ

以上がラッセル幸福論1章になります。本当は全章まとめようと思ったけど、1章だけでいいやとなりました。

 

3大幸福論の1つなんて言われていますが、今の自分にはあまり合わなかったかな。

 

不幸の原因になるものに気づいたらあとは、第2部を読んで愛情を与えるやら、情熱を持つやら、していけばいいと思います。