書評 堕落論
堕落論を読みました。
特に印象に残った部分が
太平洋戦争中に空襲によって破壊された町や、
焼けただれた死体、その中でも必死に生き抜く人々をみて、「偉大なる破壊の中には驚くべき愛情がある。それに比べて敗戦の表情は堕落である」と著者が言っているところ。
戦時下の人々は、今日をどう生き残るかが最大の関心があり、現代の私のように過去がどうだったか、未来をどうするかなんて考える余裕がなかったのではないか。
ただ今できることを無心にやる、著者にはそれが美しくみえたのではないだろうか。
"あの偉大な破壊の下では、運命はあったが、堕落はなかった。無心であったが、充満していた。"
ただ運命を受け入れ、無心に生きる。
私は今を生きているだろうか、過去を恨み、未来にばかり思いを寄せていないだろうか。
と、読んでいて考えさせられました。
タイトルから「人間どうせ死ぬんだしダラダラ生きようぜ」みたいな本かな?と勝手にイメージを抱いてましたが、今の自分の生き方をとても考えさせられる本でした。